スレッドリフト研究会の話が続きましたが、
スレッドリフトそのものについて解説していなかったので、解りやすく。
スレッド(Thread)とは糸のこと。
スレッド・リフトとは
特殊加工を施した糸を皮膚の下に挿入し、顔のたるみを改善する治療法のことです。
糸は、通常の医療では傷を縫合するために使用されます。形成外科では、傷をよりキレイに治すため、皮膚の表面だけではなく真皮や皮下組織を縫合する手術方法があります。この際、体の中に糸を残すことになるので、糸の異物反応の穏やかなものや、時には体に吸収される素材の糸を用います。 よく使用する糸には、ポリプロピレン(ナイロン)糸や吸収素材のPDSなどがあります。
スレッドリフト用の糸は、すべて外科で使用され安全確認されている素材です。普通の縫合糸との違いは、表面に突起(棘やコーン)をつけるなどリフト効果が出せるように特殊な加工を施してあることです。これを皮下組織に挿入して、糸の張力や引き上げ力によってたるみを改善するのです。
解りやすく言うと、
糸の表面に「とげ」が付いていて、皮下組織でその「とげ」が引っかかり、一種の「つれ」を作ります。この「つれ」がたるみを引き締めたり、引き上げたりするのです。
私は、2003年よりフェザーリフト、アプトス、ワプトス、Wトーシスなどポリプロピレン糸を用いたスレッドリフトを開始し、2005年ハッピーリフト、2007年ホワイトリフトなどの吸収糸を使用、2009年からは吸収性シルエットリフトを使用しています。
長年の経験で、スレッドリフトは単にたるみを改善するだけではなく、サーマクールなどの熱治療と同様に老化を遅らせる効果があります。この点に着目して、サーマクールと併用するのが私の方法の一つです。
現在様々な種類の糸が使用されていますが、違いは大きく2点です。
一つは糸の素材、もう一つが、糸をどこかに固定するかしない(無固定)かです。
糸の素材では、ポリプロピレン糸と吸収糸のどちらが良いか?という質問を良く受けます。 私見ではありますが、直後のリフト力はポリプロピレンが勝りますが、最終的にポリプロピレン糸と吸収糸の効果に大きな差はないような気がします。 ちなみに、ポリプロピレン糸が断然優れていると言う意見の医者もいます。
患者さんにとっては、顔に糸が残るか、消えるかと言う心理的負担度の違いから、 私は最近、吸収糸を用いることが多くなりました。ポリプロピレンは皮膚に残るので挿入する本数におのずと制限がありますが、吸収糸にはありません。弛んだら、いつでも足すことが出来ます。
製品によるコッグ(棘)やコーンなど糸の加工の質は、この場でコメントは出来ませんが、現在、私が最も良いと思っている製品を使用しています。
スレッドリフトも何が一番良いと言う答えはありません。
人それぞれ、医者もそれぞれだからです。
そのあたりが、スレッドリフト研究会のテーマでもあります。