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先週のCutera 社のセミナーから早1週間が経ってしまいました。

今回のセミナーは、大変勉強になりました。講師陣の発表はどれも聞きごたえがあり、居眠りをする暇もないほどでした。(つまらないと、私は確実に居眠りしますので、かなりレベルが高かった証拠です。)

注目の痩身マシーンはRF(高周波)を用いた治療器でした。発表はRFによる脂肪融解の原理等の話が主で、実機はまだなく、正式な発表は来年以降ということでした。RFによる痩身自体は、サーマクールのボディ用チップやテノールでも行われているもので、それほど目新しいことはありませんでした。

今はまた、来週25日の日本抗加齢美容医療学会(通称MBF)のセミナーの講師を務めなければならないので、その準備に追われています。

今回は、ヒアルロン酸の注入法についての講義をしなければならないのですが、

準備をしながら、形成外科医の心得の2つを思い出し、反芻しています。

一つは、「明日出来ることは今日するな。」

形成外科の代表的な手術「口唇裂手術」の父、ミラードの言葉で、緊急を要する治療は別として、形成外科では一日くらいで治療結果に差が出る訳ではないので、急がずよく考えろ、じっくりと最良の治療を考えろ、という意味です。

たとえば、傷跡やあざの手術で、わざわざ何度かに分けて切り取っていく手術法があります。一度に切り取ろうとすると、縫合の「のりしろ」ができて傷が長くなったり、幅広の傷を縫い縮めると傷口に緊張が大きくかかり、傷跡が広がってしまったりするので、時間をかけて皮膚の伸展を待ちながら、少しずつ切り取る方が、最終的にはキレイな傷跡になるからです。

もう一つは、「Cut as you go

直訳すれば、おもむくまま、あなたの好きなように切りなさい。

口唇裂ミラード法手術は、術前にデザインを綿密に計測して決めるのではなく、ある程度手術中にアレンジしていくと方法です。たとえば一つの切込みを入れると、周囲の状況が変わるため、それに応じた次の処置や切り込みを調節していくのです。細かなアレンジをを積み重ねて、最良のゴールを目指すのです。

ヒアルロン酸注入でも、この二つの教訓は生きます。

なにも無理に一度にシワを治す必要なんてないんです。

私の経験でも、吸収性で安全なヒアルロン酸を何度かに分けて、ゆっくり皮膚を矯正しながらシワを治すほうが、一度に無理に、堅い注入物や長持ちする注入物を使うより、はるかに安全で良い結果が得られます。

手術と同じように注入も、一針注入するたびに、皮膚の状態は変わるので、最初から決まったデザインや注入法などなく、そのつどその場でアレンジしていくことが重要です。 これには経験が要ります。

何となくわかりますか?

「明日出来ることは今日するな。」

なんていい言葉でしょう!

そして私は、プレゼンの準備を明日にすることにします。

9月後半から、美容外科学会、形成外科基礎学術集会、国際形成外科学会、企業セミナーなどが連続しています。

開業医としては全部に参加するのは難しいのですが、今週、国際形成外科学会で来日したDr.Zelicksonの脂肪冷却装置「ゼルティック」のセミナーに参加しました。

ゼリクソン医師は、サーマクール、フラクセルなど多くの美容皮膚治療器の組織学的研究を一手に引き受けるほどの超有名ドクターの一人です。

ごく少人数のセミナーでしたので、忌憚の無い意見を聞くことが出来ました。

内容についてはあまりオープンに出来ませんが、ゼリクソン医師のプライベートクリニックでは、現在ゼルティック2台稼働中だそうです。

また雑談の中で、サーマクールに関する新しい情報やウルセラについて、直接一流ドクターの本音の話を聞くことができ、大変参考になりました。

さて、今日はこれから、キュテラ(Cutera)社のセミナーに参加してきます。

キュテラ社は、タイタン、ジェネシス、ライムライト、パール、パールフラクショナルなどを開発、販売するメジャーなレーザー会社の一つです。

キュテラ社のような大きなレーザー会社は、自社製品に関する研究を発表する大きめなセミナーを年に1回開催するのが慣例になっています。一般の学会よりも、実際に使用経験のあるユーザーの医師が集まるため、有益な意見交換が出来ます。

私の講演内容は、「侵襲的レーザー治療 〜当院におけるフラクショナルレーザー治療の実際〜」で、フラクショナルレーザー(フラクセル、アファーム、エコ2、パールフラクショナルなど)に関する発表です。

このような企業主催のセミナーでは、宣伝も兼ねた自社製品の研究発表が中心で、いいことばかりの太鼓持ち発表になることも多々あり、通常は他社の競合機種についての話はNGなのですが、今回は、

さすがキュテラは太っ腹!

フラクセルなど他社の製品についても、フラクショナルレーザーのくくりで、私の意見を自由に言って良いとの事でしたで、講演を快諾しました。

やっとプレゼンが出来上がったので、ブログが更新できました。

ちなみに今日のセミナーで、Cutera社が新しく開発した、痩身マシーンのお披露目があるようなので楽しみにしています。

「脂肪を凍らせて減らす。」

新しいコンセプトの脂肪除去治療「ゼルティック」がついにベールを脱ぎました。前回お話した、美容外科学会の私の発表の次が、ゼルティックのお披露目でした。サーマクールの開発に携わったチームがこの機械に関与している噂は、2年位前からあり、いつ出るのか?と話題先行のマシーンだったのですが、ついに実物を見ることが出来ました。

今までの皮膚の治療器は、レーザーにしろ高周波にしろ、熱あるいは熱ダメージにより皮膚の変化を引き出すものがほとんどでした。

その代表がサーマクールです。

サーマクールは皮膚表面にはダメージを与えず、皮膚の中(真皮層)のみに熱によるコラーゲンの変性や再生を起こします。

サーマクールのサーマ(Therma)は熱、クール(Cool)は冷却を意味しますが、

熱により真皮を熱し、余分な熱で皮膚表面が火傷しないよう表面を冷却する。原理がそのままネーミングされたのがサーマクールです。

数年前から私の自論として学会等で発表しているのですが、サーマクールが他の機械と違っている最大の特徴は、実は熱、では無く、冷却の方なのです。大きな熱を扱うので、安全のためには冷却が必要です。ただし、冷却しすぎても熱の効果を奪うことになるのです。この熱と冷のバランスとタイミングがうまく取れているのがサーマクールの特徴です。冷却システムが優れているからこそ、大きな熱量を扱うことが出来るのです。

主役は「熱」なのですが、脇役の「冷」がいい味出しているので、主役が生きる。映画やドラマといっしょですね。

(ゼルティックの話のはずが、サーマになってしまいました。

自称世界一サーマクールを愛する医者の独り言です。)

さて、ゼルティックですが、サーマクールの開発者たちが関与したと言うことは、サーマクールの冷却装置の開発で得られた知見がこの装置に投入されていることが容易に推測できます。

主役を「熱」から「冷」にした新しい治療器。

「ゼルティック」

実際はどうなのでしょう。

その使用感は、後日報告します。

92526日、2日間の美容外科学会が終了しました。

今回は一般演題で、初めてのウルセラの発表と7年連続7回目のサーマクールに関する発表、それと企業主催(JMEC社)のイブニングセミナーで、美容機器と患者満足度に関する発表を行いました。

ずばり山場は初日のイブニングセミナーでした。

ちょうど学会懇親会の直前の時間で、私の発表ともう一題が、新しい痩身マシーンに関する日本初の発表だったため、興味をもたれた方、時間の空いた方などで会場は満員、しかもよく見ると前列には、日ごろから尊敬申し上げる諸先輩、著名な先生がずらり並んでいるではないですか。

緊張の面持ちで壇上に立ちましたが、座長の山下先生(湘南鎌倉総合病院)のお茶目な私の紹介で一気に緊張は解け、20分間得意の石川節でまくし立てました。

美容外科学会2009.jpg

終了後、良かったとお声をいただきましたので、とりあえず一安心。

さて、今回の学会で感じた美容医療の新しい方向性は?

一つは再生医療、ここ数年かなり進化してきましたが、さらなるブレイクスルーが期待されます。もう一つが、手術ではない痩身治療、今後メジャーなレーザー会社からも痩身用の機器が発売される予定で、今回お披露目だったJMEC社が国内販売する新しい痩身マシーンZeltiq(ゼルティック)もその一つです。

学会を通して個人的な話題は、「太ったねぇ!」だったので、自分のためにも何かやらねばと。(え?その前にダイエットですか?)
いつものように、まず自分からやってみます。
患者様に喜んでもらえる治療があれば、また紹介させていただきますので、お楽しみに。(ここ1年で試した痩身治療は、ことごとくダメ出ししています。)

一つの学会で3題の発表は久々(初??)だったので、かなり準備が大変でした。データ整理など夜遅くまで協力してくれたスタッフには心より感謝します。
恐ろしいことに、今年は10月〜12月の3ヶ月で5回のプレゼンとハンズオンがあるので、またよろしくお願いします。

ウルセラ関連でビッグニュースがありました。

ウルセラシステムにFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可が下りました。

内容はnon-invasive eyebrow lift 、非侵襲性眉毛挙上。

解りにくいですね、簡単に言うと、切ったり張ったりすること無く、額から眉毛、上まぶた周囲のリフトアップが出来ると言う認可です。

実はこれ、すごいことです。

ウルセラは、すでにヨーロッパ、カナダ、オーストラリアなどで正式の認可を受け、機器の販売と治療が開始、アジアでも香港、日本などですでにデリバリーが始まっています。しかし、本国のアメリカで、FDAの認可が出ていなかった理由が、このブロー「リフト」です。

「リフト」と言う言葉が入ると、認可が取りにくいのです。

ウルセラ社が、ブローリフトの認可にこだわったのは、手術ではない美容機器で「リフト」が認可されることはきわめて稀、あるいは初めてかもしれませんが、今後の機器販売で、大きな武器になると言う戦略からです。

また、皮膚に対する治療器として焦点式超音波を用いた初めての機械だったため、前例が無くFDAの認可に時間がかかったのもその理由です。

もっとも、アメリカで今回のウルセラの治験に加わった医師の名前を知れば、FDAを通らないはずは無いのが当たり前、皮膚のレーザー治療の世界的権威がオールスターで名前を連ねているのです。

末席ながら、私もウルセラの治療効果に関する研究に参加させていただきました。ご協力いただいた関係者の皆様、モニターの方々に心より感謝いたします。

この成果につきましては、来週の日本美容外科学会で発表させていただく予定です。

日本でも、この手の治療に慎重派の医師はウルセラの導入を見送っていたようですが、これで一気に導入が加速するかもしれません。

ただし、治療器としては通常のレーザーなどより作用が深く、強いものなので、

できれば、形成外科認定医など顔面の解剖に習熟した医師のみの使用が望ましいと考えます。

この度、一般の方に、よりわかりやすい「ウルセラ.ネット」と言うサイトを開設しました。私のブログで書いた内容もリライトして追加していこうと思っています。

ウルセラ.net>>http://www.ulthera-system.net/

ウルセラ社FDA取得プレスリリース>>http://www.ulthera.com/website/news_and_events/press-releases/fda.html

日本美容外科学会総会が9月2526日横浜で開催されます。

今回は一般演題2つと企業から依頼されたイブニングセミナーの講演、合計3つのプレゼンをすることになってしまいました。一般演題は、サーマクール、ウルセラそれぞれについて、セミナーはメドライトC6の肝斑治療など美容機器の扱い方などについて話す予定です。 一つの学会で3つはキツかった。

ブログでは、フラクショナルレーザーの紹介が一段落したので、次にリファーム、マトリックスIRなど皮膚の引き締め治療の機器について、いつものように分りやすく説明するつもりでいたのですが、驚きの話が今日ありました。

リファーム、マトリックス、オーロラの製造会社のシネロン社が、キャンデラ社と合併するらしいのです。実は、昨年来世界的不況で、美容機器、レーザー会社もかなりのダメージを受け、一時は株価もかなり下がり、その他の会社も含め合併吸収のきな臭い話が常にありました。この2社の話も確か春頃聞いた覚えがあるのですが、まさか!と思っていました。社風が全く違うのです。キャンデラ社はザ・レーザー・カンパニーと言う会社で、Vビームなど純粋なレーザーを製造し高い技術力を誇ります。その代わり若干融通が利かないような堅いイメージです。それに対してシネロンは、オーロラやRF系のちょっと軽めながら顧客満足度の高い美容機器製造を得意にしている、マーケティングに長けた会社です。(独断と偏見かもしれませんが、ご容赦ください。)

レーザー会社の吸収合併の話は、過去のブログでも書いているところがあると思いますが、その昔、ESCシャープランとコヒーレントが合併してルミナス社が誕生しました。実は両者は似たもの同士のような会社で、世界的にもナンバーワン、ツーのCO2レーザーを当時保有していたライバル会社です。ESCシャープランは、フォトフェイシャルの世界的ヒットで勢いを得て、資金力で一気にコヒーレントを合併吸収し、この技術を一つにしてしまいました。弱肉強食の吸収合併だったのでしょうか。

最近では、全く違う技術を持つサーマクールのサーメージ社とフラクセルのリライアント社が合併してソルタメディカル社になりました。これはお互いに無い技術を相互補完する合併でした。この2社は技術的には畑違いなものの、会社として若く、元々ベンチャー気質が強い社風が似ているような気がします。会社として勢いをつける良い合併だったようで、その証拠にこの先どんどん新しい商品が出るようです。

ところで今回の合併は、吉とでるか?凶とでるか?

ちなみに、私はシネロン社のヘビーユーザーですが、キャンデラ社ともウルセラを通してお付き合いがあります。 今回の合併で、製品ラインナップは幅広くなり、技術的にも面白いことが出来そうな気もします。

まずは今後の新会社に期待です。

いきなりですが、VビームにRFを付けるなんてどうですかね。笑

 ウルセラシステムは、「高密度焦点式超音波」と言うエネルギーにより皮膚の中に熱を発生させます。「焦点式」というところがウルセラのポイントで、焦点には焦点距離があり、その距離が治療の性質を左右します。 

誰でも小学生の頃やったと思いますが、太陽光をレンズで焦点に集めて紙を焦がす実験、そう、あれと同じように、ウルセラは超音波を一定の距離で1点に集めて、熱を発生させる仕組みになっています。

この焦点の合う距離が、現在あるウルセラでは3㎜と4.5㎜なのです。(そのうち色々な焦点距離のウルセラが増えてくると思います。)

ウルセラの利点は、レーザーや他の光エネルギー、高周波などと違い、途中のものの影響をほとんど受けずに、その距離に正確に熱を発生します。

頬の皮膚で、深さ3㎜はちょうど真皮の深いところにあたり、4.5㎜はSMAS筋膜にあたります。(たるみ改善熱治療の重要なターゲットです。)

ウルセラ3mm.jpg

 3.0mmの焦点距離のウルセラは、真皮の一番下あたりに

 熱を発生します。

ウルセラ4.5mm.jpg

 4.5㎜の焦点距離のウルセラは、皮下組織のSMAS筋膜に

  熱を発生します。

ウルセラ3mm4.5mm.jpg

 3.0㎜と4.5㎜のウルセラの重ね打ちは、真皮下層と皮下のSMAS筋膜

 の2層に同時に熱の引き締めを作ることが出来ます。

お顔のたるみや老化は、皮膚のあらゆる層で起きるので、できるなら、多くの層を同時治療することは、皮膚アンチエイジング治療の理想なのです。現実には難しいこともありますが、ウルセラは、簡単に同時に3.0と4.5の2層治療ができます。前回は表皮・真皮浅層の2層治療ダブルパール(パール+パールフラクショナル)について解説していますので、参照してください。

そういえば先日、ウルセラ+パールフラクショナルの同時照射に挑戦いただいた患者様もいらっしゃいます。(サーマ+フラクセルに近い組み合わせです。)

 

9月からウルセラの治療メニューを一部改訂いたします。

8月初旬、ウルセラ社のアジア担当責任者のウォルフガング氏(ドイツ人で元サーマクールの開発会社にいた人でした。)、みやた皮フ形成の宮田先生とウルセラの新しい照射方法について話す機会がありました。

当初、ウルセラは頬・コメカミ・目の下・額の照射でスタートしましたが、今回メーカーサイドから、アゴ下の照射と頬・アゴ下の3.0&4.5㎜の重ね打ち照射などの新しいプロトコールが提示されました。

まず、アゴ下の照射は安全性の確認されうる治験結果が得られたことで、治療が許可されました。患者様の中で、あごも打って欲しいと言うご要望が多いなか、しばらくお待ち頂いていましたが、晴れて照射できるようになりました。

 

また、頬の3.0&4.5㎜の重ね照射は、すでに私は行っていましたので大きな変更点ではないのですが、今までよりも少し照射量が多くなります。額の治療を希望しない方は頬・アゴ下を集中治療します。

ウルセラはまだ日本では始まったばかりの治療ですが、サーマクール、タイタン、リファームなどなど多くの熱治療の中でもユニークで効果的な治療になると確信しています。

最近のマスコミ取材でもかなりの効果が出たので、そろそろウルセラはブレイクするかもしれません。

 http://www.cross-clinic.com/info/pr246_02.html

先日、順天堂大学浦安病院皮膚科教授の須賀先生が

クリニックにいらっしゃいました。

須賀先生とは、お互い日本抗加齢医療学会で理事を務める間柄です。

須賀先生は、もちろん皮膚科では著名な先生ですが、ルミナス社のCO2フラクショナルレーザー、アンコアによる ブリッジセラピーの日本における先駆的研究者で、

学会でもいつも貴重な発表を拝聴しております。

今回は、アンコア以外のフラクショナルレーザーを、一度にたくさん見て見たいとのこと。通常、自分の持っていない他社の競合レーザーには触れる機会は少ないので、

それならば、私のクリニックが最適ということでお越しになりました。

アファーム・マルチプレックス、フラクセル2、パールフラクショナル、

エコ2と次々にご自分の腕に照射されて、その違いを確かめていただきました。

成果は、後日の学会で発表されるようですので、楽しみにしています。

ちなみに、せっかくの機会だったので、私から逆質問で、肝斑治療など様々な皮膚科的ご意見をうかがいました。勉強になりました。ありがとうございました。

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 「自分自身で受けられる治療は、誰よりも早く自分で受ける。」 

 これが美容医療を始めてから長年の私のポリシーです。 

自分で受ければ、治療の良さも悪さも、頭だけではなく体でも理解できます。 

そんな私が、クリニックに導入している主要なレーザーで受けたことが無いものが一つ、いや2つありました。実は、パールとパールフラクショナルです。なぜか、導入時期に予定が合わなかったり、ちょうど他の治療を受けた直後だったりしたのです。そこで今回、一気に在庫整理ではないのですが、パールとパールフラクショナルの同時重ね打ちをやってみました。ただ、いいかげんに受けたわけではなく、ヨーロッパでは「パールフュージョン」と呼ばれ、組み合わせ治療として正式に発表もある最新治療です。

こんな治療、私でなくて誰がやる。てな意気込みでやりました。 

リサーフェシング治療としては、パールが皮膚表面の表皮を満遍なく熱ピーリングし、パールフラクショナルで、真皮に深く熱作用を及ぼし、皮膚再生を起こす組み合わせ治療で、理にかなっているのです。 

パールフュージョンはわかりにくいので、「ダブルパール」と呼ぶことにします 

パール1.jpg

断面図で書くとわかりやすいので、  

 パールの熱断面

 パールの熱作用は、表皮全面に均一に入り(図の茶色)、その余熱が真皮の上層(赤色)に伝わるイメージです。茶色の表皮は1週間弱で剥がれ落ち、キレイな局面を作ります。

パールFX1.jpg

パールFX(フラクショナル)の熱断面

パールFXはフラクショナルレーザーなので、立体的に縦に深く熱が入り込みます。パワーを上げれば、ニキビ跡を改善する深さに到達します。パールよりも3次元的な改善ができるのです。

Wパール5.jpg

                            ダブルパール(パール+パールFX)の熱断面

表皮はパールにより熱剥離され、パールFXで真皮に深く熱作用が及びます。表皮と真皮上層で2つのレーザーの熱が重なりますが、熱過剰によるリスクはありません。表皮から真皮上層に平面的にも立体的にも対応する理想的リサーフェシング治療となります。

Wパール1.jpg
Wパール2.1.jpg
Wパール4.jpg

まずパールFX           次にパール        直後は表面が粉を吹いたよう

その後の経過はブログ8月11日と14日のダウンタイムを参照してください。

ちなみに、ダブルパールは、かなり上級者向けの治療です。

1週間はダウンタイムがあります。炎症後色素沈着も多少起きますので、しばらくは、当院でのリサーフェシング治療(フラクセル、アファーム、パール、エコ2等)経験者限定で、9月から治療開始いたします。

Pearl:
パール
」と言う名のレーザーがあります。
YSGG
と言う物質をレーザー媒体とした
2790nm
の波長のレーザーです。キュテラ社が開発しました。

真珠のような肌に!がキャッチフレーズでしょうか。

皮膚にレーザーを照射し、皮膚を削ることでキレイな皮膚面を作っていく治療をレーザー・リサーフェシングと言います。表面を強く削りすぎると跡になる恐れもあるので、細かく点状に削るのが、フラクセルなどのフラクショナル・レーザーです。

(過去ブログ参照http://www.crossclinic.jp/archives/20090613.html

パールは点状に削るのではなく、全部を面で削ります。

このようなフル・リサーフェシング・レーザーは、かなりのダウンタイムとリスクがあり、日本人には不向きな治療と言われてきました。

私のクリニックでも2年前にパールを導入していますが、フル・リサーフェシングとして、パールは日本人の肌に合っている治療です。肌質は選びますが、従来のフル治療(CO2やエルビウムYAG)よりもダウンタイムとリスクがかなり軽減されています。

その秘密は波長2790です。

 (波長については過去ブログhttp://www.crossclinic.jp/archives/20090714.html

パールの波長2790は、ほど良くハードで、ほど良くジェントルなのです。

私見ですが、パールは通常の治療として日本人に出来る唯一の「フル・リサーフェシング・レーザー」だと思います。(リスクを考慮しなければ、CO2、エルビウムのフル治療の方が効果は上だと思いますが。)

パールは他の波長のレーザーと違い、キュテラ社の独占なので他の会社が作ることは今のところ無いようです。

2年ほど前に発売されたパールですが、うちではフラクセルほどブレイクしませんでした。

パールの弱点は、「ダウンタイム」と「熱の深達度」です。

フル・リサーフェシングのため、皮膚の剥離が終わるまでは、完全なダウンタイムになります。(日焼け跡のような薄い表皮の剥離が終わるまで1週間弱かかります。)

皮膚表面はとてもきれいになるのですが、熱の真皮への浸透がフラクセルなどと比べると浅いので、ニキビ跡などには、ダウンタイムの割には効果が少ないのです。

この問題点を解決するために、当然のごとくパールもフラクショナル化し、

「パールフラクショナル」として今年1月発売され、私もすぐに導入しました。

パールフラクショナルは、パールの波長特性を生かした、フラクショナル・レーザーで、ちょうど、フラクセルとエコ2の中間の強さ・効果とダウンタイムがあります。ニキビ跡にも効果があり、ダウンタイムはエコ2や通常のパールより短縮され、37日程度です。赤みが残っていても、3日程度でお化粧により社会復帰できます。(照射強度による差、個人差があります。)

三国志で言えば、パール・パールフラクショナルは、趙雲(ちょううん)です。

武術の達人で優れた将軍であり、義に篤く、誠実な人柄と言われています。

「ほど良くハードで、ほど良くジェントル」な感じです。

雑誌STORY8月号にパールフラクショナルが紹介されました。

雑誌社の方も、本人も驚くほど効きました。

http://www.cross-clinic.com/info/pr243_02.html

2種類のコンビネーション・レーザー治療後の 経過です。

照射後4日目

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表面の剥離が起きて、剥けた部分と、剥けていない部分のコントラストが面白い

照射後6日目

画像4 007.jpg

ほぼ剥離が終わり、赤みが残る程度です。

今日はお休み前のため、かなり忙しかったのですが、

先生!顔が赤い!何かやったの!?と気付いたのはお一人だけでした。

マスクなしで電車も乗れそうです。

女性ならお化粧すれば会社にも行けそうです。

ダウンタイムもほぼ終わりです。

何をやったかは、そのうち詳しく解説します。

ダウンタイムとは、ダウンする期間、寝込む期間。

顔のレーザー治療などでは、実際に寝込むことは無いのですが、

会社に行けない、人に会えないなど、社会的ダウンタイムが

あるものもあります。

ダウンタイムの無い治療が、日本で主流なのは、

世間体を気にするお国柄でしょうか。

本日、私、あるレーザーの治療後3日目、ダウンタイム中です。

マスクをしないで歩いていると振り返られます。

電車では、見て見ぬふりをされます。

赤みと皮むけで痛々しい。

かなりハードですが、ヨーロッパでは流行っているそうです。

これが、本当のダウンタイム。

何をやったか、見てみたい人は

画像4 0011.jpg

どうぞ、お越しください。

CO2レーザーに関するその2です。

CO2レーザーは一般的なレーザーで世界中の多くのレーザーメーカーから発売されています。

機種としては10年以上前に成熟し、今は性能よりも価格競争になっているはずです。たとえば、ホクロを取るだけならどの機種でも対応できます。

私の愛用のCO2レーザーは、「シャープラン15F」と言う機種です。

実は数年前、廃盤になっていまい、正式にはメーカーの補償は受けられなくなっています。昨年一度故障し、買い替えを検討しましたが、何とかメーカーに頼んで中身の総取替えをしてもらい新品同様に生まれ変わりました。(まだ、何とかメンテナンスしてもらえます。)なぜ、私がこの機種にこだわるかと言うと、とにかく使いやすいのです。長年慣れ親しんでいるので手足の一部のように使えます。またCO2レーザーとしては、当時コストを度外視で良いものを作っているため出来が良いのも理由です。現在の価格競争の中では、コストが高過ぎるため、発売中止、廃盤になってしまいました。

開業当初購入したレーザーで今もバリバリの現役はこの機種だけです。

ルビーレーザーとYAGレーザーは買い換えてすでに2代目です。

CO2レーザーは様々な皮膚症状に有用なのですが、もう一つ、長期間、少しずつでもCO2レーザーをお顔全体にあてていると、肌の若返り効果があります。ほんの少しずつですが、コツコツ継続するのがコツです。(最近このことを書いている論文を見つけたので驚きました。)

フォトフェイシャル系とCO2レーザーの組み合わせ治療は、裏メニューとして実は8年以上前から行っていますので、続けている患者様はそのことが良くわかると思います。

もっとも、これを一気にシステムで行うのがフラクショナルCO2レーザー、つまりエコツーです。

しみが主訴の患者様の中には、日光性色素斑(フォト系やQルビーレーザーが良い)肝斑(レーザートーニングが良い)脂漏性角化症(CO2レーザーが良い)真皮メラノサイトーシスADMQスイッチレーザーが良い)など

種類の違うしみが、お顔全体にちりばめられている事が多々あります。

このような場合は、何か1つのレーザー治療で満足いく結果を得るのは難しいので、数種類のレーザーが必要になります。

全体的なシミにフォト系(フォトフェイシャル、オーロラ、ライムライトのどれか1機種)と肝斑にレーザートーニング、濃いシミにQスイッチルビーレーザー、それと脂漏性角化症、イボ、毛穴などにCO2レーザーと、すべて含めた5回セットを「フォトフェイシャルプレミアム」、「ライムライトプレミアム」として、現在は正式なメニューとして行っています。

この治療を行うために、当院のレーザー室は、治療ベットの頭周りにぐるりとレーザーを配置しています。肝斑レーザートーニングの次は、ライムライト、次はCO2レーザーと鉄壁のフォーメーション です。

 Oggiの8月号にシミ治療の紹介記事が出ました。

実際にどのレーザーを使うかは、ダウンタイムのあるものは相談しながら、概ね私のおまかせになります。

先日ある雑誌社の方から、こんな質問を受けました。

「先生、たくさんレーザーをお持ちですが、どれが一番好きですか?

どれか一つだけ残すとしたらどれですか?」と、

正直言って迷います。

たぶん、最も思い入れのある機械はサーマクールなので、どれが好きと言われればサーマクールかもしれませんが、サーマクールはたるみの改善と全般的皮膚老化のコントロールはできても、しみやシワ、その他の皮膚症状の改善はできません。今のマイブーム的には、ウルセラシステムかもしれません。でも、治療のために

どうしてもどれか1台だけと言われれば、炭酸ガス(CO2)レーザーです。

CO2レーザーは、レーザーとしては古くからある、最も初歩的なありふれたレーザーです。強い蒸散能(皮膚を焼き飛ばす能力)があり、レーザーメスとして使われることもあります。もともと強いレーザーなのですが、調節すれば弱めに使うこともでき、慣れると万能で一番使い勝手があります。

CO2レーザーは、ほとんどの皮膚の小腫瘤を取り除くことが出来ます。

通常、直径3㎜以上の大きなホクロやイボは、麻酔をしてCO2レーザーで蒸散して取り除きます。これが普通の使い方です。

CO2レーザーの使い方で、ちょっと特殊ですが麻酔をせずに少しずつ、小さな腫瘤、直径1㎜程度のものを取り除く方法があります。

たとえば、小さなホクロや小さなイボ、赤ボクロ(小さな血管腫)、くも状血管腫や酒さ(血管の拡張)、稗粒腫(米粒みたいに白く皮脂が溜まる腫瘤)、老人性イボ(脂漏性角化症)、ちょっとしたシミ、首のアクロコルドンやスキンタッグ(首のイボやちょっとキノコ状に大きくなるイボ)その他もろもろの良性の小腫瘍は、ほぼ無麻酔で取り除くことが出来ます。

膿胞性のニキビ(黄色い膿を持つもの)は、CO2レーザーで小さく穴を開けて、早めに膿を取り除き、同時に熱による殺菌作用で治癒を早め、結果としてニキビ跡になるのを防ぎます。

ニキビ跡は治療が難しいものの一つですが、クレーターの縁をなめらかにしたり、へこみを少し浅くすることも出来ます。

開いた毛穴も同様になめらかに浅くすることが出来ます。

特に私が昔から裏メニューとして使うのが、鼻の毛穴のCO2レーザー治療です。

また、フォトフェイシャル治療で平坦なシミは良くなっても、凹凸のある小腫瘤、イボ状のものは改善しないため、フォト系の治療とCO2レーザーの治療を組み合わせたメニューをずっと前から裏メニューとして行っています。

いわゆる「おまかせレーザー・フォトフェイシャル・コース」です。

長年通っている患者様は、かなりの確立でこの治療をお受けになっていると思います。

おまかせなので、何を照射したのか覚えていない方も多いと思いますが、CO2レーザーはコースの最後にやる、あの「ヂュヂュヂュ・・」てやつです。

つづく

フォトフェイシャル昔話をします。

フォトフェイシャルは、当初、ESCシャープラン社(ルミナス社の前身)が、あざや刺青などの治療器として開発した機械でした。当初の目論見ははずれ、惨憺たる結果だったと思いますが、この機械の全く違う使用方法を発表したのが、Patric Bitter先生です。波長が絞れていない点をむしろ利用して、顔面全体に弱めに光を照射して、しみ、くすみ、赤み、肌質などをゆっくり5回程度の時間をかけて改善するフォトフェイシャル治療を生み出したのです。

当時の医師の頭は、Qスイッチレーザー(ちょっと難しくなりますが、レーザーの理論で重要なThermal Relaxation Timeに基づいたレーザー←そのうち解りやすく解説します。)という、物凄い世紀の発見のレーザー理論に支配されていたので、そこから外れるフォトフェイシャルは悪く言えば、インチキくさくとらえられていました。

日本でも2000年前後にこのフォトフェイシャルが導入されましたが、恥ずかしながら私も、こんなのはダメだと、フォトフェイシャル否定派だったのです。

おそらく、日本で最も早くフォトフェイシャルのすばらしさに気付いたのは、くしくも私の恩師、東京女子医大第二病院形成外科教授 若松信吾先生(現名誉教授)です。その後の日本のフォトフェイシャル研究をリードしました。

今では、どのレーザークリニックにも欠かせない治療器のひとつになっています。

その後、ESCシャープラン社はコヒーレント社を吸収合併しルミナス社となり、私が信頼を寄せる元コヒーレント社のS氏がルミナスに移籍したことを契機に、(本当はフォトフェイシャルで出遅れたと感じ、あわてて)2001年にフォトフェイシャルを導入し現在に至ります。(今から思うと結果的にそれほど出遅れませんでした。)

フォトフェイシャルの利点は、色々なものに少しずつ利くことであり、ダウンタイムを好まない日本人に合っており、その後の大ヒットは現在の美容皮膚科ブームの礎を築きました。

フォトフェイシャルはLumenis社の商標登録名です。つまり、フォトフェイシャルは固有名詞であり、ルミナス社以外のフォトフェイシャルは存在しません。ただし、その後世界中のレーザー会社からフォトフェイシャルとほぼ同じタイプの機種が発売され、フォトフェイシャル系の治療、フォト治療、光治療などと総称されます。当院にあるオーロラ、ライムライトもその一つです。

また、医療機関以外でのフォトフェイシャル治療は許可されていません。もし、エステなどでフォトフェイシャルを行えば違法行為になります。

施術者は医師または看護師のみに許されます。あしからず。

前回レーザーの波長の話をしましたが、その続きでフォトフェイシャルの話をしていきます。

レーザーもフォトフェイシャルも光による治療です。

両者とも光を出すおおもとの光源があり、光源から出る光に一定の加工をし、治療用の光に変えます。もとの光源から出る光は自然光に近く、紫外線・可視光・赤外線領域を含む普通の光です。

できるだけ解りやすくいきます。

ポイントは光の加工の違いです。

たとえばルビーレーザーは、光源の光をルビーの分子に当てる加工をします。そうすると他の波長は吸収され、たった一つの波長だけが出てきます。これがルビーレーザーです。(詳しい話は物理学になるので省きますが、分子状態の変化により誘導放出される光エネルギーを増幅してレーザーになります。)

レーザーには、ルビーやアレキサンドライト、CO2NdYAGなどレーザー媒体となる分子(原子)が必要になります。○○レーザーの○○はその媒体名です。

うまくレーザーの媒体になる物質を発見したり開発すれば、新しいレーザーが出来ます。

「分子(原子)のフィルターを通して作った単一波長の光がレーザーです。」

それに対して、フォトフェイシャルは、一定の波長を遮断するフィルターを光源の光にかけます。

簡単なたとえでは、車のガラスや眼鏡のレンズを紫外線カット仕様にするようなものです。

治療に必要な波長帯を残して、不必要な波長にはカットオフフィルターをかけて除外します。レーザーに比べるとかなり単純なつくりです。

ある程度の幅の波長を残すことにより、治療適応範囲を広くできるのと、フィルターは簡単に換えることが出来るので、一台の機械で数種類の光を出すことも可能です。フォトフェイシャルが、しみ・くすみ、赤み、肌質改善など複数の症状に効果があるのは、大まかにその辺りの波長を含んでいるからです。

「余分な波長をカットして、残した有益な波長帯の光がフォトフェイシャルです。」

@「レーザーは絶対的な単一光であり、ものによっては扱いにくいところのある

専門職、頑固職人のような感じです。」

@「フォトは光に幅があり、少し融通の利く、オールマイティーな総合職タイプです。」

会社にも色々な人材が必要なように、美容クリニックも色々な治療器が必要です。

レーザーにしろフォトにしろ、あとは使い方次第ですが・・・。

何となく解りますよね。

プレゼント.jpg

今日は私の誕生日でした。

昭和37717747分に生まれたので、

7が好きです。クリニックはビルの7階です。

サウナでもどこでもロッカーは7を探します。

今年で47歳です。

今年もスタッフからプレゼントをもらいました。

走れ!ということですね。

ありがとう! 

でも、ケーキは写真撮る前に食べてしまいました。

クロスクリニックにはたくさんのレーザーがあります。

なぜそんなにたくさん必要なのか?

レーザーの種類?について、出来るだけ簡単に説明します。

まず、今回は「レーザーの種類」=「波長」と考えます。(他にも分類があります。)

光は大きく、紫外線、可視光、赤外線、の領域に分類できます。

人間の目で感知できる光、可視光の波長は360〜830nm(ナノメートル)位で、

いわゆる虹色の色は、紫、黄色、赤など人の目が感じる色です。

可視光より短い波長は紫外線、長いと赤外線です。

自然界では、太陽からこれらの光がまとまって降り注いでいるわけですが、

人工的に作られるレーザーは単一の波長です。

たとえば、ルビーレーザーは694nmで、この波長だけの光です。

ルビーレーザーは主にシミの治療に用いられますが、なぜかと言うと、694nmの光がしみのメラニン色素によく吸収され、その他の条件でも効率よくメラニン色素を破壊することができるからです。

シミの治療は、メラニン色素が治療のターゲットになります。 

同じように、血管(血液のヘモグロビン)に良く吸収される波長は、色素レーザー585〜595nmで、血管腫や顔の赤みの治療に使用されます。

その他、アレキサンドライト755nm、ヤグ1064・532nmなど、たくさんの種類のレーザーは、それぞれ皮膚に対する反応の違いがあり、多くの用途で使い分けされるのです。

日曜日に新しいレーザーのセミナーに行ってきました。

今回のセミナーは、511と578nmの2種類の波長を発振するレーザーの話でした。

ちなみに色で言うと511は緑色、578は黄色に光ります。511はシミに、578は赤みによく反応します。この2つの波長は、今までにあまり使用されていない波長なので、今までのシミや血管に対するレーザーと少し違う反応をするようです。

私が興味を持ったのは、このレーザーが肝斑に効くかどうかです。

肝斑は、炎症性のシミという特質があり、赤みを持っていることが良くあります。

セミナー講師の韓国のドクターの話では、このレーザーで赤みを治療すれば、かなりの肝斑が薄くなると言う理論でした。

実際そのとおりですが、やはり肝斑がメラニンの異常であると言う点では、

炎症を起こさず最適なメラニン破壊が出来るQスイッチYAGによる

レーザートーニングが上のような気がします。

その先生も、実際の肝斑治療では、レーザートーニングとこのレーザーを併用しているようでした。

理論的には正しいので、改良すれば肝斑に対する新しい治療法として可能性があるかもしれません。

また、欲しいレーザーが出てきました。

フラクショナルレーザーの第一号機フラクセルに対抗する機種として、2006年サイノシュア社から発売されたのが、アファームです。話が難しくなるといけないのですが、フラクセルとアファームの波長(レーザービームの種類)の違いを簡単に説明してみます。フラクセルの1550nmの波長はアファームの1440nmの波長に比べ深く皮膚に浸透します。ざっと、フラクセルが1.4mm、アファームが0.3㎜。アファームは、皮膚表面を削る作業に適している反面、深部に及ぼす力が弱いのが弱点です。 2006年11月7日 サイノシュア社にてアファームの体験をさせてもらいました。今だから話せますが、その時の私の評価は×でした。フラクセルに比べて治療感が弱すぎるのです。 強すぎてもリスクが高まりますが、この時点でのアファームは悪名高いノンアブレイティブ・レーザー(高い割には効果がない)のような気がしました。 結局、私は旧型のアファームの購入を見送りました。     

アファーム061107.jpg

↑2006年11月7日旧型アファームの体験    

 

 

↓2008年6月18日アファームマルチプレックスの体験  

アファームMPX080618-2.jpg

時は経って、2008年6月18日 バージョンアップしたアファームマルチプレックス(MPX)の体験をしました。アファームMPXは、旧型の1440nmの波長ともう一つの波長1320nmが連続で照射されるアクロバットなレーザーに生まれ変わりました。1320nmのレーザービームは、フラクセルに劣らない深さに浸透することができます。

アファームMPXは、浅い層と深い層の2段に分けてレーザーを照射する、新しい概念、マルチプレックス・レーザーでもあるのです。

これでアファームはフラクセルの本当の競合機種になりました。

治療感はフラクセルよりもマイルドで、 浅い波長と深い波長のほど良いブレンドでバランスが良いのです。

何より、この時興奮したのは、一つの機械から連続で、全く違う波長のレーザーが出ることです。これは面白い、この技術はもしかして将来もっと色んな波長を連続で出すことが出来るかもしれないと考え、わくわくしました。

サイノシュア社は、1998年私が開業時に購入した最初の脱毛レーザー(LPIR)の開発会社です。今は故人ですが、創業者のFurumotoさんは日系アメリカ人で、色素レーザー(赤あざの治療器)の有名な開発者の一人です。当時何度かお話したことがありますが、社長と言うより技術者というお人柄でした。今でもサイノシュアの気風は、理系で若干融通の利かない技術者肌のような感じがします。まあ、それはそれで良いのです。

アファーム・マルチプレックスは、 三国志で言うと周瑜(しゅうゆ) (レッドクリフでは主人公、トニーレオンです。)

2波長を操るレーザーを文武両道の周瑜にかけたつもりですが、 無理がある?

この三国志たとえは、三国志なんて知らないと言う人にはたいへん不評ですが、

気にせず、フラクショナルレーザーシリーズは、これで行きます。  

先日、ある有名女医の先生とお食事をする機会がありました。

有名と言っても、テレビなどで活躍する女医さんではなく、私も尊敬する

本物の形成外科医です。 色々ためになる話を聞くことが出来ましたが、

中でも心に残っている話が、赤あざ治療についてです。

赤あざは、病名で「単純性血管腫」「ポートワイン血管腫」と呼ばれますが、先天的にあるものです。

このような生まれながらのあざは、よく色で簡潔に区別して呼ぶのですが、それぞれ病名があります。

顔面に出来る青あざは「太田母斑」、全身にできる茶あざは「扁平母斑」

ホクロの大きなものは黒あざで「母斑細胞母斑」です。

形成外科の外来には、このような疾患を持つ子供たちがたくさん来られます。

私がちょうど医者になった頃に、レーザーの進歩により、それまで治療が難しかった赤あざ「単純性血管腫」と青あざ「太田母斑」の治療が飛躍的に進歩しました。

私の最初のお師匠様、新井克志先生はレーザー治療のパイオニアの一人でしたので、

当時の形成外来には、今では到底見ることも無い、絶滅機種「アルゴンレーザー」がありました。当時、赤あざ治療はアルゴンレーザーが最新の治療で、太田母斑もまだドライアイス療法や皮膚移植で治療している時期でした。

たぶん私くらいの形成外科医が、最後にアルゴンレーザーを見た世代かもしれません。

ほどなく外来に、巨大な「色素レーザー」なる黒船がやって来ます。

今日からアルゴンレーザーはすべて止めて、血管腫はこの色素レーザーで治療します。

と言うことになりました。

青天の霹靂、今までの治療がすべて否定された瞬間です。

太田母斑の治療は、その後QスイッチYAGレーザーにとって変わられます。

ただし、レーザーの世界では、良くこんなことが起きます。

新しく、より良い治療法が出れば、それまでの治療法は一瞬で過去になります。

今でも、私が新しい機器に気を引かれるのは、この原体験のせいかもしれません。

もっと良いものがあるかもしれない。と常に思ってしまうのです。

今でも、たまに大ヒットがあるので、止められないのが現状です。

話は戻りますが、この進歩したはずの赤あざ治療が危機に瀕しています。

子供の赤あざ治療は保険適応があり、高額な医療費をかけなくても保険で治療が出来るのですが、 保険適応になるレーザー機種が、その当時の古い機種のみで、最新のレーザーでは正式には保険適応が無いそうです。

また、レーザー機器は購入費用が高額で、赤あざの治療のみでは,病院経営は赤字になってしまうため、年々、治療する病院自体が減っているとの事でした。

私自身は、今現在、保険治療を一切していないため、あまり事情がわかっていなかったのですが、

悲しいことです。

それなら、お前がやれ!と言われるかもしれませんが、難しい。

何とか、最新の機種でも保険適応できるように、厚労省さん認めてもらえませんかね。

それなら、私も出来るかもしれません。

20年前、午後のレーザー外来で同級生の先生と、「おー!これはすごい!」と当時最新の色素レーザーを得意満面で打っていたのを思い出します。

今があるのも、そのおかげですから。

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